一夜明けて

火曜日、ゆうべ揉めているので夕飯の支度をどうするかと思ったけど
前日のすき焼きが鬼のように残っていたので（私は一口も食べていない）
それにうどんを入れたものを温めてテーブルに出した。
あとは、野菜サラダと総菜、すべてコンビニ。
私は自室の布団にもぐって暖をとる。
３０分くらい経ってみると鍋一杯のすき焼きは空になっていた。
みかんを食べながらＴＶを観ている。


「一晩経ちました。思うところはないでしょうか？
Ｍに真相を聞かないのでしょうか？うやむやにするんですか？」

「今度、聞くよーのぉ」

「いつ？」

「今度来た時」

「今度来たときって２週間も先よ、記憶があいまいになる。
しかも、クリスマスに嫌な気分はないでしょ
それこそ、Ｍが可哀そう。」

夫暫し無言。イラつく私。

「どーするん」

「するよーの」

「今すぐして」

「・・・・・。わかった」

「ちゃんと丁寧に聞いてやって。責めるんじゃなく優しく聞いて。
嘘をついてないか？と聞けば嘘をついていない。と、
嘘の上塗りになるし、堂々めぐりになるから
「じゃあ誰が嘘をついたん？都ちゃん？
都ちゃんが嘘をついたっていうことじゃね？」って聞いてみて。
それで真実が分かると思う。
黙るか、わからないと言ったら、自分の嘘を認めたということになると思うよ。
もし、「都ちゃんが嘘をついた」ってはっきり言ったら
正直、面倒見たり付き合ったりしていく自信はない。
だから私と離婚して。私は嘘をついていない。」

うやむやにはできない性格。
何時までも小骨がのどに引っかかった状態は嫌だ。

とぎれとぎれ、ほとんど小さな声でしゃべっているようだ。
スピーカーにすればよかった。私には聞こえない。
結局、自分が嘘をついたとかつかないとかを言うことなく
KUMONの先生がどーたらこーたらを繰り返す様子。
自分で不利になるのが分かっているので核心には触れてこないのかも。
そして、「ばあちゃんが知っている。」と言ったことも嘘だったことが判明。
「じゃ、聞くよ。都ちゃんが嘘をついたんね？」黙っている。
「都ちゃんが嘘つきなん？」黙っている。
沈黙の後、小さな声で違うと言ったらしい。
「都ちゃんはＭがしたことで、傷ついとるよ。電話を代わるから」
電話を代わっても黙っている。
私は「Ｍの大好きなじいちゃんは、Ｍが簡単に嘘をつくことをしたら悲しいよ。
大人はね、Ｍの嘘はすぐに見破るんよ。
Ｍだってお母さんや友達に嘘をつかれたら
面白くないし腹立ったり悲しかったりするでしょう。みんな同じなんよ」
黙っていた。もう、ゴメンナサイをいったかどうか覚えていない。
たぶん、言わなかったのだろう。
愛情が足りないのかも…
満たされていないのかも…
親の思いと感じる子供の温度差？


とりあえず、夫は離婚を回避できてホッとしているだろう。
いや、本当は回避できてないんだけどね。
過去にあった私を馬鹿にする発言に対して詫びていない。
孫に嘘をついてはいけないと躾けながら当の本人は
取り返しのつかない大ウソを私についている。
きっともう謝る事は無いのだろう。

良かった思い出を引っ張り出して傷の上から見えないように
掛けているけど、ほんの少し風が吹いただけでめくれてしまう。
離婚なんてすぐそこに転がっている。