宮本さんは母の入院しているクリニックの看護師さんだ。
今日の夕食時、母が食事を拒んだ。いつものことだが。
「これなら久しぶりだから食べてくれるかも」と持参したおかずだった。
かすかな期待、でもすがるような思いで口に運ぶと見事に嫌がった。
淡い本当に淡い期待を裏切られた形となった私は悲しくて涙が溢れた。
なんでよ・・・なんで・・・?なんで嫌なん?
こうなるとだめなのだ・・・涙が止まらなくなる。
泣く私をかわいそうだと反省して食べる気になってくれないかと
思うが、遠くを見つめて無表情な顔つきになった母は瞬きもしない。
分かっている。母は認知症だ。
理性などはもう、何処かに置いてきてしまった。
相手が悲しいと思うから自分がこうしてあげればよい。
そんな思考はもうできない。
自分の感情のままに生きている。嫌なものは嫌なだけなのに。
そんなこと分かっているが、心のどこかでまだ期待をしている。
私の気持ちを分かってくれて穏やかに微笑んでくれないだろうか。
いつまでも諦めない、納得しない自分を馬鹿だなと思う。
割り切ることができない。自分を馬鹿だと思う。
涙は後から後から溢れては流れる、止まらない。
誰か・・・助けて・・・誰か・・・辛いよぉ・・・
逃げることはできないのだ。決して・・・
母だけのことではなく、ほかにもたくさんの課題がある。
背負っていかなきゃいけない。
でも、もう疲れた・・・
生きていてもこの先何も良いことはない。
疲れた・・・母もかわいそう・・・
苦しいよう・・・誰か、私の話をうんうんって聞いてください・・・
ただただ頷いて、聞いてください・・・
そしたら、また頑張れると思うから。
でも、今誰も聞いてくれる人が傍にいない。
頭を冷やそうと思い廊下にでた。
大きな声が聞こえた。
203号室に新しい入院患者さんがいた。
ご主人が認知症らしく奥さんが怒って宥めている。
かなりヒステリックにご主人を怒っていた。
奥さんは、かなり疲れているのだろうな。
看護師の宮本さんが、奥さんに
「病気がこうさせるんですよ。病気のせいなんです。」
優しく静かに言った。
私は、はっとした。 胸がすーっと楽になった。
涙が止まった。
彼女が言った言葉は、至極当たり前のことで、頭では私も分かってる。
でも、今欲しかった言葉だった。
ナースステーションに一人でいる宮本さんに
話しかけた。実は話をしたことがなかった。何だか苦手なコだった。
私の感情が暴走しておかしくなって涙が止まらなかったこと
宮本さんが言った言葉にすくわれたことを話した。
話しながらまた、涙が溢れてきた。
すると、宮本さん泣きだした。
「大変なのに娘さん、本当によく頑張ってるじゃないですか。
私の言葉が少しでもお役に立てたのなら、ありがとうございます。
嬉しいです。」とポロポロ涙を流した。
宮本さん、有難う。一緒に泣いてくれて・・・
もっと早くに話しかけたらよかったよ・・・
誤解してたよ、貴女のこと。
宮本さんは今月末で退職する。
今日の夕食時、母が食事を拒んだ。いつものことだが。
「これなら久しぶりだから食べてくれるかも」と持参したおかずだった。
かすかな期待、でもすがるような思いで口に運ぶと見事に嫌がった。
淡い本当に淡い期待を裏切られた形となった私は悲しくて涙が溢れた。
なんでよ・・・なんで・・・?なんで嫌なん?
こうなるとだめなのだ・・・涙が止まらなくなる。
泣く私をかわいそうだと反省して食べる気になってくれないかと
思うが、遠くを見つめて無表情な顔つきになった母は瞬きもしない。
分かっている。母は認知症だ。
理性などはもう、何処かに置いてきてしまった。
相手が悲しいと思うから自分がこうしてあげればよい。
そんな思考はもうできない。
自分の感情のままに生きている。嫌なものは嫌なだけなのに。
そんなこと分かっているが、心のどこかでまだ期待をしている。
私の気持ちを分かってくれて穏やかに微笑んでくれないだろうか。
いつまでも諦めない、納得しない自分を馬鹿だなと思う。
割り切ることができない。自分を馬鹿だと思う。
涙は後から後から溢れては流れる、止まらない。
誰か・・・助けて・・・誰か・・・辛いよぉ・・・
逃げることはできないのだ。決して・・・
母だけのことではなく、ほかにもたくさんの課題がある。
背負っていかなきゃいけない。
でも、もう疲れた・・・
生きていてもこの先何も良いことはない。
疲れた・・・母もかわいそう・・・
苦しいよう・・・誰か、私の話をうんうんって聞いてください・・・
ただただ頷いて、聞いてください・・・
そしたら、また頑張れると思うから。
でも、今誰も聞いてくれる人が傍にいない。
頭を冷やそうと思い廊下にでた。
大きな声が聞こえた。
203号室に新しい入院患者さんがいた。
ご主人が認知症らしく奥さんが怒って宥めている。
かなりヒステリックにご主人を怒っていた。
奥さんは、かなり疲れているのだろうな。
看護師の宮本さんが、奥さんに
「病気がこうさせるんですよ。病気のせいなんです。」
優しく静かに言った。
私は、はっとした。 胸がすーっと楽になった。
涙が止まった。
彼女が言った言葉は、至極当たり前のことで、頭では私も分かってる。
でも、今欲しかった言葉だった。
ナースステーションに一人でいる宮本さんに
話しかけた。実は話をしたことがなかった。何だか苦手なコだった。
私の感情が暴走しておかしくなって涙が止まらなかったこと
宮本さんが言った言葉にすくわれたことを話した。
話しながらまた、涙が溢れてきた。
すると、宮本さん泣きだした。
「大変なのに娘さん、本当によく頑張ってるじゃないですか。
私の言葉が少しでもお役に立てたのなら、ありがとうございます。
嬉しいです。」とポロポロ涙を流した。
宮本さん、有難う。一緒に泣いてくれて・・・
もっと早くに話しかけたらよかったよ・・・
誤解してたよ、貴女のこと。
宮本さんは今月末で退職する。
コメント
経験者じゃないと分からない辛さもあると思うので、かける言葉が見つからないというのが正直な気持ちです。
が!
ここは何でもぶちまけていい場所だと思ってるので、苦しい胸のうちは溜め込まないで吐き出しましょう!
そしたらきっと誰かが受け止めたり受け流したりしてくれると思います。
そして画面の向こうの誰かがきっと共感してくれると思います。
宮本さんの退職前に、宮本さんへの誤解が解けて良かったですね。
入院時にお見舞いへ行った自分に向かって「どちら様でした?」と言われ
ショックを受けた事を記憶しています。
認知症の方にとってはもう、家族の感覚すら無いんですよねぇ~
自分からの思いと、相手からの思いのすれ違いが本当に苦しくなるんです。
自分の住んでる地域には「認知症家族の会」的な集いが有りました、
(たぶん今も有ります。)都わすれ様の地域では無いでしょうか?
もし有ればお顔を出してみてはいかがでしょう?似た境遇の方と交流も出来て
色々とお話する事で、楽になる部分も有りますよ~。
ぎんじさんもおっしゃっていますが、こればかりは経験者で無いといくら言葉をかけられないくらいのことだと思います。
ただ、私も多分、いずれ同じようなことを経験することになるのだろうと思いながら都わすれさんのお話をいつも聞いています。
そして、ここはそんな愚痴を吐くことができる場所、許される場所だと思います。
もちろん、聞いたからと言って何ができるわけでは無いですが、いつか私が同じ思いになったら、きっと都わすれさんに聞いて欲しいと思っています。
> ぎんじさんもおっしゃっていますが、こればかりは経験者で無いといくら言葉をかけられないくらいのことだと思います。
わぁ〜、毎度のごとくですが... ...、文になってません。
ぎんじさんもおっしゃっていますが、こればかりは経験者で無いとい簡単には言葉をかけられないくらいのことだと思います。
と、訂正して下さいまし、それでもどことなく(?笑)へんだけれども。
安直に軽々しくコメントしたら失礼だものね。都ちゃんもそれ以外の介護する人を抱えている方々もそれぞれにそれぞれの葛藤や辛さや悲しみや喜びがあるんだよね、きっと。宮本さん。ありがとうございました。都ちゃんの心を癒してくれた言葉をありがとうございました。
あなたはとても素敵な娘さんです
そんな娘さんに育てたお母さんはもっと素晴らしい方です
真っ直ぐに悩んでいるのが分かります
それでいいんですよ
真正面に向き合ってるからこそ
時々不安定でもちゃんと立っていられます
あなたは大丈夫です(^^)
偉そうな言い方に聞こえたらごめんなさい
でもすっごく気持ちわかります
そばに居たらいくらでもお話を聞いてあげられるのにね。話すと気持ちが少しは楽になるから。以前友人が厳しい介護で大変でしたが、皆で話を聞いてあげると、帰る頃には明るい顏になっていました。どんなに愚痴っても、そこには母親に対する愛情がある事は皆理解しているからね。憎くて愚痴を言っていないの、お母さんの事が大好きだからの言葉って分かっているから。
気持ちを溜め込まないで、ここで吐き出してね、明日はお母様の笑顔が見られるかもしれない、と信じてね!
もう無くなって4年になるので今でこそ笑い話になっていますが、施設に入所していたとは言えそれはそれは本当に大変でした。
脱走、暴言など、他人に迷惑をかけることも多く、施設の人も手を焼き、毎日来て舅の側にいて下さいと言うほどに。
なので、お気持ち少しは分かります。
辛いとき、苦しいときは吐き出して下さい。
それだけでも少しは救いになると思います。
泣かせてごめん・・・
ありがとうね、そうだね、うんうん
ため込んじゃだめだね。
洗濯ものと一緒ね?あ、違うかしらね~
うん!もう、大丈夫だ!
宮本さん、何気にいい人だった。
30日がラストで夜勤なの。だから、何かプレゼント用意する。
おばあちゃまが認知症に・・・
それは、11さんのお父さまやお母さまも苦労をなされたのでは?
思いが伝わらないのが切ないです・・・
家族会、自宅介護をしていたころには居宅事業者の
ケアマネさんが誘ってくれて参加していました。
そうです、そうです。皆さんと話をしてると
力をもらっていました。家族会は必要ですね。
有難うございます。
大丈夫です。
hanaさんの言葉はきちんと私の心にぴったりとはまってます。
hanaさん、とても頑張ってらっしゃる。そして、よい距離感。
オンとオフをされている。
私の泣き言なんて・・・お恥ずかしいですよ・・・
でも、私でよかったら、いつでもどんな時でもOKです(*^^*)
入院中のまるちゃんにも心配をかけてしまったね・・・
ごめんね・・・
つい、自分が世の中で一番不幸のどん底のそのまた、下にいると思ってしまう。
そんなはずはないのにね。参った参った。
宮本さん、もちろん私より年下なんだけど。いいコだったことに
気付かなかったなんて、本当に申し訳ないよ。
全然、ダメダメなんだよ・・・私は・・・
でもね、うちの母は、本当に一生懸命に生きてきた人なんだよ。
もし、母が認知症にならず、クリアな状態だったら
それこそ毎日大変だと思う。
辛かった出来事を忘れるために認知症になるのかもしれないね。
梅子ちゃんの日記読んだよ、いいお兄さんだね(*^^*)
マダムさんに話を聞いてもらったら、気持ちが軽くなること間違いないです。
「そこのところは深刻にならないで」って背中をポンと
叩いて「大丈夫よ」っていってくれそうです
>明日はお母様の笑顔が見られるかもしれない
本当に有難う。見たい。
お舅さんが・・・そうですか。
ご主人様のご両親も大変だったと思います。
昔付き合っていた彼のおじいちゃまが認知症でした。
お舅さんと同じように脱走しては、パトカーで
送ってもらってました。
家族総出で探していました。
有難うございます。本当に有難うございます。
上手にガス抜きできるよう練習します。