19歳の時に知り合って、30年以上が経つ。
65歳になる女性。

高校の時からアルバイトで働いていた喫茶店
19歳の時にまたそこでバイトすることになった。

彼女は、そこでパートとして働いていた。
赤いマニキュアと赤い口紅が印象的、不思議と違和感がなく、
それがまた似合っていた。
一番隅のテーブルで休憩中にブラックコーヒーをのみ
煙草をくゆらせ通りの向こうを見つめる彼女
普段は明るいその表情とは全く違う横顔に大人の女を感じていた。

心に抱えるたくさんのことを決して愚痴るのではなく
明るく物語のように話してくれた。誰の悪口も言わない。

私とは真反対なひとなのだ。
それゆえ魅かれるのだ。
いつも前向きなのだ。
どんな窮地にあってもそこで楽しみを見出すのだ。

彼女は、離婚し、二度がんの手術を受けた。
10年前からはリウマチになった。
今、そのリウマチのせいで右手小指の筋がきれて
手術をしギブスをしている。
肉じゃがをつくり持っていくと
「わぁ~嬉しい!肉じゃが食べたくって~でも今作れないでしょ
本当に嬉しい!都ちゃんありがとう」と喜んでくれた。

見ると、色々と不自由なのに
赤い口紅。聞くとこんな時だからこそ
何時間かかろうともちゃんとしたことしないと自分が
駄目になる。利き手が使えないのも工夫するのは楽しいのよ。と

「昔から思うんよ、本当に赤い口紅が似合うね」

私が言うと「嬉しい、有難うね。でも、もう
マニキュアはできないのよ~この指を見られるのは
やっぱり悲しいから・・・」

初めて聞く嘆きだった。

胸が締め付けられた。

いつも、前向きで本当にたくましくって
その昔、子供たちが小さなころ余裕がなくて
「今日はたこ焼きパーティーよ~タコさんないけど~♪」
と沢庵いりで、でも全然切ない感じじゃなくて。
どこかから、小さな家具を拾ってきて
「ねっ、これフランスの街角にありそうなイスよね~
ペンキぬったら素敵よね~」とか。
英語が話したいから公民館の英語教室にいくの。とか
ピアノがすこし弾けたら楽しいよね~と
ピアノをいきなり買ってみたり。

何かにつけ、自分の現状に嘆き落ち込む私と真反対の彼女。
尊敬する人は誰ですかと尋ねられたら、彼女しかいない。

そして、尊敬する人と出会えたことは、本当に有難いことだ。




コメント

アミ
2018年11月5日8:11

素敵な人ですね!
彼女の仕草が映画のように浮かんできます。 (^_-)-☆

まるこ
2018年11月5日19:56

わぁ〜!都ちゃん。その方素敵だわ。
私には全くないエッセンスの持ち主。全く真逆な方だわ。
なかなか出来ないね。彼女の様に。
素敵な出会いとご縁に感謝だね、なかなか言えないよ、「尊敬する人この人です!!」って。都ちゃん彼女と出会えて良かったね!!

都わすれ
2018年11月6日9:00

アミさん

そうなんですよ~♪
これがまた、目が大きくて睫毛が長くて~
美容にも余念がなくて~
そんなところも尊敬です。

都わすれ
2018年11月6日9:08

まるちゃん

お疲れ様、まるちゃん。
ちょっと休憩、一休みしてね。
彼女、朝、新聞配達をしてるんだけど
寝起きは関節が動きにくくボタンが留めにくいからと
洋服を着て寝るんだと教えてくれるのも、
明るくからっと話すんだ。
今ギブスで自転車乗れなくて大変だろうと思うと
平気~、カート引っ張るのよ~足腰大事にしなきゃ~って
同じ公営住宅なのに、彼女の部屋はとても素敵なんだよ~
もう、尊敬のカタマリだよ(笑)

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